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美白神話を支える成分とは②

肝斑の飲み薬は一般用医薬品としても発売されていますが、美容液の美白の成分は、医薬部外品であり効果は薬ほど期待できません。加えて、「カモミラET」は、血管の収縮作用のあるエンドセリンという成分を阻害して、炎症も抑える働きがあるとされています。この他にもいろいろ挙げれば切りがないほど、美白の成分はありました。カタカナの成分名だけでは、素人の方にはその効果はよくわかりませんし、それぞれの成分の作用を知ったうえで選ぶには時間がかかると思います。しかも、ご自身で選んだ成分が、肌に合うかどうかは、ひとつひとつ美容液を試していかなければなりません。気が遠くなるほどたいへんです。

しかし、できてしまったシミを放っておいたら、紫外線に当たって色が黒くなり、さらに大きくなるかもしれません。「美白美容液を使わなくっちゃ」「シミが増えちゃう」「使ったらシミが薄くなった気がする」。シミが薄くなったと感じられる商品に出会ったあなたはラッキーです。たくさんの中からよくその商品を見つけました。お友だちにも紹介してあげたくなるかもしれません。しかし、お友だちのシミが、あなたの紹介した商品で薄くなるとはかぎりません。個人差があるのです。また、美白成分の働きは、とっても理に適っていますが、理論通りになりにくいのが、人間の身体ともいえます。

メラニン色素は、紫外線のダメージから身を守るために欠かせません。無闇に美白の成分でメラニン色素が作られるのを阻めば、紫外線の猛アタックを受けて、がんなどの病気に結びつきます。シミの原因を完璧に排除できる薬があったとしたならば、その薬を使うことで身体に別の悪影響をもたらす。それが、医薬品の副作用です。しかし、一般に市販ぎれている化粧品や医薬部外品には薬のような効力はありません。医薬品ではないので、極端な使い方をしない限り、人体に悪影響を及ぼさないように成分などの配合上限が決められているからです。

副作用もない代わりに、効果も期待できない。それにも関わらず、「美白の成分」が含まれているというだけで、万能薬のように捉えられることに疑問を感じます。美白成分の入った商品のCMには、色白で美しい女優さんたちが登場しており、まるで美白成分の効果を表しているかのようです。その効果に期待して、消費者の方がその商品を購入して本当に美肌が手に入れられたと実感できたならば、それはそれでよいでしょう。ただし、その商品を使っても、シミが消えないという方はいるはずです。

そのとき、美白効果が得られないのは、あなたの肌がひどいからではありません。そもそもシミをキレイに消し去るほどの効果は得られないものと考えてください。「薬用美白」が悪いとはいいませんが、薬用=薬とイメージされがちなだけに、みなさんには正しい知識を身につけていただきたいと思っています。すでにいろいろな化粧品を試して、ご自身の使い心地のよさと、シミの状態の変化を確かめながら商品を選んでいる方もいらっしゃるはずです。それが正解です。言葉だけに惑わされないようにしてください。

美白神話を支える成分とは①

医薬部外品である美白の成分には、いろいろな種類があります。主な作用を見てみると、まず、肌の表面の角質層の新陳代謝を促してメラニン色素を排出しやすくするというのがありました。シミは、メラニン色素が肌の奥に沈着してできますから、メラニン色素を身体の外に捨てやすくして、シミを消すという考え方です。また、メラニン色素が作られないように合成を促すシグナルを遮断するというのもあります。さらには、メラニン色素を作るための材料の供給を少なくするといった成分もありました。どれも基本は、メラニン色素を捨てる、作らなくするというアプローチ法です。

具体的な成分としては、「ビタミンC誘導体」が代表格です。その働きは、一般の方には聞きなれない「チロシナーゼ抑制効果」と「抗酸化作用」とされています。チロシナーゼは酵素の一種です。肌でメラニン色素を作るには、材料となるアミノ酸のチロシンを酸化させなければなりません。チロシンを酸化させる酵素がチロシナーゼです。アミノ酸というのは、人間が食事をして体内に吸収された後に、たくさんの種類と数が作られますから、メラニン色素の材料となるチロシンもいっばいあります。でも、材料のままではメラニン色素にはなりません。材料を料理してメラニン色素を作り出す料理人が欠かせません。

その料理人がチロシナーゼです。ビタミンC誘導体は、料理人であるチロシナーゼの働きを止めるだけでなく、調理器具も隠して、メラニン色素という料理ができないようにする働きがあるのです。チロシナーゼ抑制効果のある美白成分は他にもあります。コケモモ由来のアルブチン、イチゴの成分から抽出されたエラグ酸、4-n-プチルレゾルシノール、ブタの胎盤由来のプラセンタエキス、植物油で知られるリノール酸などです。また、肝斑の治療薬としてお馴染みの「トラネキサム酸」は、チロシナーゼの抑制だけでなく、細胞の炎症に関与している生理活性物質・プロスタグランジンE2の働きも抑える効果があるとされています。

化粧品に「効果」を期待してはいけない②

医薬品と医薬部外品の違いは、消費者にとってわかりづらくなっています。たとえば、仕事や家事でぐったりと疲れたときに、疲労回復のために何かを飲むとしましょう。ビタミン類の入っているジュースよりは、医薬部外品のドリンク剤を手にしませんか。そのドリンク剤と、薬局で販売されている一般用医薬品の栄養剤では、どちらを選びますか? 店頭の薬剤師さんに相談すると、一般用医薬品をすすめられるかもしれません。

でも、ご自身で決めるとしたらどうですか? お手頃な値段の医薬部外品を手にする人もいるはずです。一般用医薬品の方が、効能効果がはっきりしているにも関わらず、同じように滋養強壮作用があるドリンク剤を飲む。肌に関係した話でいえば、毛髪剤でも同様のことが起こっています。1999年にミノキシジルという成分を配合した育毛剤は、一般用医薬品として初めて厚生労働省の承認を受けましたが、その他の育毛剤は医薬部外品が多い。従来からもうひとつ医薬品として認められている育毛剤はありましたが、その他は医薬部外品もしくは化粧品の分類です。

宣伝文旬を見ると、どれも薄毛を改善してくれそうで、消費者は戸惑うばかりでした。その状況を打開するために、2010年に日本皮膚科学会で発表された「男性型脱毛症診療ガイドライン」では、ミノキシジルの育毛剤を推奨度A(行うよう強くすすめられる)と発表したのです。推奨度Aだったのは、フィナステリドの内服薬とミノキシジルだけで、他の育毛剤については、「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」もしくは「根拠がないので勧められない」でした。それでも、育毛剤は店頭にたくさん並び続けています。

このように、効果に対して「十分な根拠がない」ものでも、化粧品ならば大手を振って商品として店頭に並ぶことが可能です。成分やその量などを法律に基づいて配合していれば、化粧品でも、医薬部外品でも、同じように店頭に置かれているわけですから、山のように商品があるのも無理はないことといえます。みなさんのお気に入りの化粧品はまったく効果がない、というわけではありません。ただ、「美白」の文字だけを見て効果に過大な期待をかけすぎないようにしていただきたいと思います。化粧品も医薬部外品も、医薬品ではないことを改めて申し上げておきます。

化粧品に「効果」を期待してはいけない①

今やファッションのひとつのようになっているお化粧によって、シミやシワをカバーすることはできます。でも、あくまでもカバーであって、お肌の改善にはなりません。お化粧を落とせば、肌の状態は元のまま。シミやシワも消えることはないのです。そして、スキンケアの化粧品についても、保湿以外の働きには期待が持てません。なぜならば、化粧品は医薬品ではないからです。薬と化粧品の違いは、配合できる成分の種類とその成分量にあり、化粧品に配合できる成分と量は、薬事法で定められています。

その法律では、全ての化粧品に配合してはならないもの、石鹸や化粧水などの使用日的で制限されるものなどがありますが、化粧品として配合できる成分は、「その使用によって保健衛生上の危険を生じるおそれがあるものであってはならない」というのが大原則になっています。化粧品は、薬のように、1日1回1錠を飲みなさいといった使用方法の厳しい規定はありません。

高価な美容液を惜しげもなく使う人もいるでしょうし、お手頃な化粧水をジャバジャバとお顔に塗っている人もいます。化粧品の使用用量や用法も、薬と同様に薬事法で定められてはいますが、薬のように専門家である薬剤師さんや医師が指導するようなことはありません。誰が購入し、どれだけ使うかわからない。それでも、「保健衛生上の危険を生じるおそれ」はないようにしなければならないのです。つまり、一度に使い切ってしまうはどの無茶な方法は別として、誰もがアバウトに使用しても人体に影響を及ぼさない。その程度の成分しか配合できないということです。

化粧品の中には、「薬用化粧品」と記載されているものがあります。「薬用」という言葉からして薬っぼいのですが、医薬品ではありません。薬事法では、薬用化粧品は医薬部外品と定められています。医薬部外品は、化粧品よりも効能効果が期待できる成分を配合することができます。ただし、医薬部外品も薬とはいえません。化粧品よりも効果はあるけれども、医薬品ではない。いわば化粧品と医薬品の中間のようなポジションです。そのため、人体への影響が少ない範囲でしか配合成分は認められていません。

化粧品は医薬品ではない③

化粧品に含まれるサリチル酸は、皮膚科医が使っている薬の1000分の1~1万分の1程度と、非常に薄められたものです。いわば医薬品とは別のものなのです。医薬品は、何度も試験を繰り返して効果と人体への影響を証明しなければなりません。そのために承認されるのに時間がかかります。しかし、化粧品では、含有される成分の上限を設けることで人体への影響を極力少なくし、臨床試験を行わなくても商品化できるようにしているのです。つまり、化粧品のサリチル酸は、医薬品として使用されているものよりも効果は薄く、たくさん使用しても肌にあまり影響を与えないものといえます。

化粧品に薬のような効果を求めても仕方がありません。きちんと治療を受けるならば、医療機関を受診して二キビ治療を受ける方が効果的です。化粧品と医薬品は別ものですが、「医療用で使用されている成分」と聞けば、買う側としては、なんとなく安心です。また「美白」と記載されていれば、まるで本当に美白の効果があるように感じられてしまいます。もちろん、現在使われている化粧品が、ご自身のお肌に合っているものであれば問題はありません。ただし、中には、広告宣伝文句に惑わされて、逆に肌にダメージを受けるような商品を使っている人もいるので注意が必要です。

化粧品に配合されている成分は、厚生労働省で定められた方法で作られているため、本来は、人体に悪影響を与えるものはありません。ただし、スギの花粉で花粉症になるように、自然界のものでもアレルギー反応を起こす、あるいは、刺激になるものはあります。ご自身の肌を保護できるような化粧品を選んでいただきたいと思います。また、使用されていて肌荒れなどを感じたら、「美白」の二文字にこだわることなく使用することを止めてください。そんな化粧品を使い続けていたら、逆にみなさんの肌に悪影響を与えます。思い切って捨ててしまう勇気も持ってください。

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